久里浜医療センター

WHO (世界保健機関) アルコール関連問題研究・研修協力センター

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2. 飲酒と健康問題

アルコール性肝障害

  • アルコール性肝障害はアルコールに対する体質の変化で起こるとされています。
  • アルコール性肝障害は自覚症状が全くなくても健診で「γ-GTPが高い」など指摘されます。
  • 肝障害で症状(腹水・黄疸・出血・昏睡)が出るのは肝硬変が進行した非代償期です。
  • 肝硬変は回復しないわけではありませんが、飲酒で悪くなるのは1日単位、良くなるのは年単位なので完全断酒が必要です。
  • 当院での調査では「アルコール性肝硬変」と診断されても飲酒継続した場合の4.4年後の生存率は35%、断酒を継続できた場合は88%でした。「肝硬変と診断されても断酒できない状況」は「進行食道癌や進行胃癌と診断された」状況と5年後の生存率は大差ありません。

  • 連続飲酒などで起こる黄疸や発熱、腹痛を伴う重症型アルコール性肝炎は100日での生存率が2002年の段階でも32.5%に過ぎない恐ろしい病気です。

  • アルコール性肝障害は症状がないうちに健診で指摘されることがほとんどですが、症状が出たときにはすでに回復困難です。症状がないうちに対処することが重要です

 

資料
JASBRA(アルコール医学生物学研究会)アルコール性肝障害診断基準(2011年版)より

「アルコール性(AL性)」とは長期(通常は5年以上)に
@過剰の飲酒とは1日平均純エタノール60g以上の飲酒(常習飲酒家)をいう。但し女性やALDH2活性欠損者では1日40g程度の飲酒でもアルコール性肝障害をお越しうる。
A禁酒により血清AST、ALTおよびγ-GTP値が明らかに改善する。
B肝炎ウイルスマーカー、抗ミトコンドリア抗体、抗核抗体がいずれも陰性である。
付記:
1.肥満者におけるAL性肝障害:肥満者では1日平均純エタノール60gの飲酒に満たなくてもAL性肝障害を起こしうる。
2.肝炎ウイルスマーカー、抗ミトコンドリア抗体、抗核抗体陽性例についての取り扱い:肝炎ウイルスマーカーまたは抗ミトコンドリア抗体や抗核抗体が陽性であるが、病理組織でほかの病因よりAL性の変化が明らかに強い場合、肝炎ウイルスマーカー陽性など他の病因を付記してAL性肝障害と診断できる。

アルコール性肝障害の病型
1.アルコール性脂肪肝:肝小葉の30%以上(全肝細胞の約1/3以上)にわたる脂肪化がありその他に顕著な組織学的な変化は見られない。


            正常肝           脂肪肝(脂肪で黄色く膨らんでいる)

2.アルコール性肝線維症:@中心静脈周囲性の線維化A肝細胞周囲性の遷移か門脈域から星ぼう状に延びる線維化のいずれかないし全てで、炎症性細胞浸潤や肝細胞壊死は軽度にとどまる。

3.アルコール性肝炎:肝組織病変の主体が肝細胞の変性・壊死であり、

1)小葉中心部を中心とした肝細胞の著明な膨化(風船化、ballooning)、 2)種々の程度の肝細胞壊死、
3)マロリー体(アルコール硝子体)、および
4)多核白血球の浸潤を認める
 a. 定型的:1)-4)のすべてを認めるか、3)または4)のいずれかを欠くもの。
  b. 非定型的:3)と4)の両者を欠くもの。
背景が脂肪肝、肝線維症あるいは肝硬変であっても、アルコール性肝炎の病理組織学的特徴を満たせばアルコール性肝炎と診断する。
付記:アルコール性肝炎の臨床的診断における重症度(JAS)の取り扱い
Japan Alcoholoc Hepatitis Score (JAS):アルコール性肝炎重症度

Score

1

2

3

WBC(/μl)

<10000

10000<

20000<

Cr(mg/dl)

<1.5

1.5<

3<

PT(INR)

<1.8

1.8<

2<

TB(mg/dl)

<5

5<

10<

DIC

-

+

 

Age

<50

50<

 

JASスコアが10点以上の症例は重症アルコール性肝炎
8-9点の症例は10点以上に移行する可能性がある

4.アルコール性肝硬変:肝の組織病変は定型例では小結節性、薄間質性である。肝硬変の組織形態学的証拠は得られなくても飲酒状況、画像所見および血液生化学所見から臨床的にアルコール性肝硬変と診断できる。

表面がゴツゴツして小さくなっている

5.アルコール性肝癌:アルコール性肝障害で画像診断、または組織診断で肝癌の所見が得られたもので、他の病因を除外できたものをAL性肝癌と診断する。

著者
水上 健

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