久里浜医療センター

WHO (世界保健機関) アルコール関連問題研究・研修協力センター

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5. アルコール依存症

復職支援プログラム

近年、職場で受けたストレスから、精神疾患を発症して休職する人が増えています。治療期間が長期化し、社会生活から離れた状態が続いている人の中には、「以前のように仕事をこなせるのか」、「人間関係をうまく築けるのか」といった、復職に対する様々な不安を抱えている人も少なくないでしょう。
 復職支援プログラム(リワークプログラム)とは、復職に向けて、通勤や業務、人間関係などの仕事上のストレスに耐えられるように、身体的・精神的な準備を整えていくためのプログラムです。

1.就業者の心の健康に関する現状
現在、日本では就業者に対するメンタルヘルス対策が必要だと強く言われています。例えば、業務による心理的負荷を原因として精神障害を発症し、あるいは自殺したとして労災認定が下りた件数は平成21年度で234件と、10年前(14件)に比べて急増しています1)。また、就業者の自殺者数は年間8〜9千人前後と言われており、社会問題となっています1)。
精神疾患による休職者の割合を見ると、うつ病者が全体の60%を占めていますが、うつ病はアルコール依存症との併存が多く、自殺率が高まると言われています。このことからも職場におけるアルコール使用障害への対策は自殺予防の観点からも重要です2)。

2.復職支援プログラム
長期間の静養を経て、円滑に職場へ復帰するためには、復帰前のリハビリが重要となります。復職支援プログラムは、復職者が通勤や業務、人間関係から受けるストレスに耐えられるように、体調や生活リズムなどを整えていくものです。またプログラムの中には再発予防も含まれています。

3.アルコール依存症に対する復職支援
当院では、アルコール依存症の方を対象とした復職支援プログラムを実施しています。同じ病を抱える復職予定者が一緒になって、断酒への必要性を認識し、生活リズムを整え、体力や作業能力を回復し、症状の改善・再発予防のための知識を習得するなどの活動に取り組んでいます。

1) 職場復帰の前提条件
アルコール依存症者の復職支援を進めるにあたっては、一定期間治療を行った後に次の条件を満たしていることが必要です。それは、@本人が断酒の必要性を認識し、かつその時点で継続できていること、A本人が復職を希望していること、B主治医が復職可能であると判断をしていること、の3つです3)。

2) 復職時における本人への働きかけ
復職時には、本人に対して断酒を続ける必要性を強調することが必要です3)。主治医からの指導内容を確認し、定期通院、抗酒剤の服用、自助グループ(断酒会、AA)の参加を継続させていくことも大切です。さらに、職場内外で飲酒しかねない場面について話し合い、そこでの対処法を相談することも重要です。そのほか、再発を防ぐためにも、復職後に体調を崩したときや飲酒への渇望が強くなったときには、早期に担当医や職場の保健スタッフに相談するだけでなく、家族や友人、自助グループのメンバーなどに相談することも必要でしょう。

リンク
当院の復職支援プログラムに関してはこちら

参考文献
1)厚生労働省. 労働者の心の健康の保持増進のための指針. 2010.
2)廣 尚典. 職場のメンタルヘルスとアルコール問題をめぐる話題. 日精協誌 30: 28-32, 2011.
3)廣 尚典. アルコール依存症者に対する職場復帰支援. 精神科臨床サービス 6: 91-95, 2006.

著者
栗田 真里

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